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TOSSとは

 

 

TOSSとは(Teacher's Organization of Skill Sharing)の略です。日本語に直訳すれば「技術方法を分かち合う教師の組織体」となります。1980年代前半に誕生した「教育技術の法則化運動」がその前身です。本格的なインターネット時代を迎えた本世紀に入ったところで,「TOSS」として発展的再出発をしました。
 「教育技術の法則化運動」は,我が国最大の民間教育研究団体でした。現在のTOSSも,参加者数,発行書籍数,ネット上の情報数のどれをとっても「ダントツトップの教育研究団体」です。その活動は,教師の指導法の普及に留まらず,社会貢献活動にまで広く及んでいます。
 TOSSは,みな休日や平日の勤務外の時間を使って,自費で参加しています。活動の基本となる「サークル」は現在,全都道府県と海外に,合わせて600以上あります。上海師範大学や韓国の教育研究会との長年の交流もあります。
 TOSSの前身,「教育技術の法則化運動」を向山洋一氏が誕生させたきっかけは,素朴な疑問からでした。
「跳び箱(開脚跳び)の跳べない子を跳ばす技術は,簡単である。学べば一年目の先生でもすぐにできるようになる。しかし,その方法が全国に広まっていないのはなぜか?」
 ここから,優れた技術・方法を集めて広めようという運動が誕生したのです。
 戦後,日本の教育界が失ったものに「師範大学制度」があります。戦前の教師は多くの場合,師範大学で「教え方」を学んでから教師になりました。それが戦後,占領軍の方針のもと,「師範大学」は「学芸(リベラルアーツ)学部」にかわりました。そこでは,技術・方法が過度に軽視され,一般教養が重視されました。結果として,「教え方を学ばずに教師になる」「教え方を教えられない大学の教官が増える」こととなったのです。今,日本が失った「師範大学制度の良さ」をTOSSが担っているとも言えます。
 最後に,1984年に掲げた「教育技術の法則化運動」の四つの理念を紹介します。TOSSとなった今もこれは変わりません。

 

1 教育技術はさまざまである。出来るだけ多くの方法を取り上げる。
  (多様性の原則)
2 完成された教育技術は存在しない。常に検討・修正の対象とされる。
  (連続性の原則)
3 主張は教材・発問・指示・留意点・結果を明示した記録を根拠とする。
  (実証性の原則)
4 多くの技術から,自分の学級に適した方法を選択するのは教師自身である。
  (主体性の原則)

『教育トークライン臨時増刊号』(2013.4) 東京教育技術研究所 桜木泰自氏論文より

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